2013.12/Myojo『裸の時代』10000字ロングインタビュー:有岡大貴④
根拠のない自信、まちがってなかったな
—じゃあ、個人的な分岐点は?
「今年の6月のことなんで最近なんですけど、俺は壁にぶちあたった時期で。他のメンバーは楽器だったり、演技だったり、いろいろ特技がある。”俺なんもねーな”って、ずっと悩んでたんですよ」
—そうなんだ
「何かのきっかけになればと思って、ひとり旅に行こうと思って。知らない土地に行ったら、否が応でも人と話さなきゃいけない。そこから、見える自分ってあるかもしれないって。予定組まずに羽田空港に行って、いちばん最初の便に乗ったんです。それが、たまたま鹿児島行きで。鹿児島に着いたら、屋久島の看板が見えて。屋久島はパワースポットだし、ずっと行ってみたかったんで、そのままフェリーに乗って行ったんです」
—すごい行動力だね
「着いたらもう夜で。宿を探さないとと思って、”空いてますか?”って何軒も回って、ようやく宿が見つかったんですよ。宿の人に、”屋久杉を見に行きたいんです”って言ったら、お弁当を用意してくれて。屋久杉って森の中にあって、片道5時間、往復で10時間かかるんです。”朝の3時には出発しなきゃいけないから、お風呂沸かすから入って寝なさい”って言われて」
—明日に備えたんだ
「人って、すごくあたたかいな、来てよかったなって思って。そしたら、マネージャーさんから電話が来て。俺、ホントに思いつきで来ちゃったんで、旅のことを連絡してなかったんですね。そしたら、”明日、JUMPでミーティングするから、何時にどこどこに来て”って言われて。俺、正直に、”実は今、屋久杉を見に鹿児島に来てるんです”って話して。当然、マネージャーさんはカンカンで、”朝イチで帰ってこい”って」
—屋久杉を見ずに帰ったんだ?
「いや、自分の中でこのまま帰ったら、何も変われないって思って。”どうしても屋久杉を見て帰りたいんで、明日はミーティングに参加できません。ごめんなさい”って、半ば強引に押し通して」
—そうだったんだ
「その電話のあと、メンバーにも説明しなきゃと思って、ひとりひとり、長文のメールを送ったんです。”変わんなきゃと思って、今ひとり旅してる、だから明日はどうしても帰るわけにはいかない、ごめん”って。そのあと、山田には電話したんです。山田だけ、ひとり旅に行くかもっていうのは言ってたんで、”やっぱ、帰ったほうがいいのかな?”って。そしたら、すごく背中を押してくれて。”大丈夫だよ。帰って来なくて。絶対、大ちゃんにとって意味のある旅になると思うから”って言ってくれて。その言葉がすごく嬉しくて、ひとりで泣きましたね」
—うれしいよね
「しかも、電話のあと、あいつからメールが来て。自分の家族と変顔で撮った写真つきで、”楽しんでこいよ!”ってメールを送ってきやがったんですよ。それ見て、また涙が出てきちゃって。そんときのメール、今でも大事に持ってます。宝物です」
—他のメンバーの反応は、どうだった?
「”大丈夫だよ!”ってメールの返信を送ってくれて。あ、でも、返信がないメンバーもいたんですね。それ、すごく怖くて。怒って当然だよなって。だけど、次に会ったとき、”どうだった?”って、すごいやさしい顔で聞いてくれて。嬉しかったですね」
—いいグループだね
「ホント、よき理解者ですね。みんなのこと大好きです」
—すぐに効果は出ないだろうけど、ひとり旅の効果はあった?
「不思議なんですけど、ちょうど屋久島から帰ってきて最初の仕事が『Come On A My House』の歌番組の収録で。それが放送されたとき、いろんな人に、”いつもと顔がちがう。いいよ”って言ってもらえて。効果あったのかなって思いましたね。何より、やっぱ自信がつきました」
—それは、どんな自信?
「屋久島を歩いてる往復10時間、俺、いろいろ考えてて。俺が歩いてきた道、いろんなことがあったし、これからも、いろんなことがあるだろうけど、まちがってなかったなって。JUMPのメンバーで初めて顔合わせしたときに感じたワクワクと、根拠のない自信、まちがってなかったなって。俺たちは、もっともっと前へ進める。早くメンバーに会いたいなって思いながら歩いたんです」
—最後に、Hey!Say!JUMPとして、いちばんうれしかった瞬間、忘れられない景色ってなに?
「いちばんかあ。なんだろうなー。デビューコンサートもそうだし、2回目の東京ドームもそうだし、『SUMMARY』もそうだし。最近だったら『ジャニーズ・ワールド』もそう。そんとき、そんときで、みんなで成し遂げた、大きな仕事をひとつ終えたとき、俺、絶対”集合写真撮ろう”って言うんですよ。またひとつ大きな壁を乗り越えた瞬間だから、”今、写真撮ったら、みんな、今までで、いちばんいい、すっげーいい顔してるんだろうな”って思うんで。集合写真を撮るたびに、毎回毎回、いちばんだと思ってた景色が塗り替えられてく。だから、これからも、いちばん忘れられない瞬間、最高の瞬間を、ドンドンドンドン作ってくんだと思うんです。ファンのみんなと、この9人でいっしょに」